2022.02.22

ASEAN・インド経済:選別売り進む中で、底堅く推移するアジア通貨

2022年は先進国で広がる利上げの動きを受けて、新興国通貨は引き続き下落圧力に晒されるだろう。ただ、こうした中にあっても、ASEAN主要国とインドの通貨は底堅く推移することが見込まれる。ASEAN主要国は堅調な財輸出や海外送金が改めて評価されていること、インドは積極的な投資誘致策等により資金流入の勢いが続いていることがその背景である。また、通貨の脆弱性が高いとされてきたインドとインドネシアでは、外貨準備高が積み上がり、通貨急落リスクへの耐性が一段と高まっていることも安心材料である。ASEAN主要国とインドのリスクは、内需回復が本格期に入ることでインフレ圧力が高まることである。各国の政府・中銀が景気を抑えてでもインフレ抑制に動けるかは不確実であり、インフレが想定以上に加速した場合は改めて通貨が選別売りの対象になることには注意が必要であろう。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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