2024.03.26

米国経済:景気減速の兆し散見も、インフレ率下げ渋りは継続

米国経済の柱である個人消費は、インフレ率の下げ渋りによる実質賃金の伸び鈍化を背景に、増勢が弱まりつつある。また、個人消費を支える雇用情勢は、2月は失業率が上昇するなど労働需給の緩和が確認され、企業マインドは幾分悪化した。このように、景気減速の兆しが再び散見され始めているが、インフレ率は、サービスを中心に依然下げ渋っている。こうした中、FRBは、3FOMCにおいて、インフレ再燃リスクだけでなく、過度な金融引き締めによる景気悪化リスクにも配慮が必要として、年内に利下げを開始する方針を引き続き示唆した。金融市場はFRBが利下げに対して前向きととらえ、長期金利低下とそれに伴う株価上昇など金融環境は幾分緩和した。景気が過熱気味のまま下支えされ、インフレ率が下げ渋る可能性が高まったとも考えられる。結果的にFRBの利下げ開始が遅れ、過度な引き締めとなるリスクには引き続き注意が必要だろう。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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