2024.05.27

米国経済:労働市場の正常化進み、インフレ再燃懸念後退(改定見通し)

4月の小売売上高は実質ベースで減少に転じ、堅調に推移してきた個人消費に増勢鈍化の兆しがある。この背景として、資産効果で強まってきた消費意欲が頭打ちし始めていることが考えられる。この先、労働需給のひっ迫が解消に向かう中で、可処分所得の伸びも鈍化し、個人消費は緩やかな減速が続くと見込む。また、インフレ下げ渋りの主因であったサービス価格は、4月の消費者物価指数では伸びが鈍化し、インフレ再燃懸念は後退した。サービス価格に影響を及ぼす賃金上昇率は着実に低下しており、インフレ率は緩やかな低下基調を辿ることとなろう。FRBは、早期の利下げ開始への消極姿勢を保っているが、今夏にかけてインフレ鈍化と景気減速を確認した後、利下げを開始すると予想する。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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