2022.04.25

米国経済:高インフレ・金利急上昇の逆風続くも、内需の回復基調維持

米国経済は、インフレ高進や金利急上昇などを逆風に、3月単月ではやや減速したとみられる。しかしながら、コロナ感染が下火になり人出が増加するもとで、潤沢な家計貯蓄と堅調な雇用環境を背景に、個人消費の回復基調は維持されている。また、企業のマインドは引き続き良好であり、底堅い設備投資需要が期待できるほか、感染リスク低減を受けた物流・生産活動の改善により、在庫復元に向けた生産増の動きも続く。住宅投資は、金利急上昇の影響で需要に陰りがあるが、在庫不足を埋めるための供給ニーズが下支えすると見込む。なお、ウクライナ情勢を受けたインフレ率の一段高は、消費者マインドの悪化等を通じた個人消費の抑制、FRBの金融引き締めペースの加速を招いているが、景気の腰折れにつながるほどの悪影響を及ぼしていない。これらを総合して、2022年暦年の実質GDP成長率は3%台半ばになるとの従来見通しを維持したい。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

執筆者紹介ページを表示