2022.05.27

日本経済情報2022年5月号 改定見通し~一進一退脱するも物価上昇で緩慢な回復に

2022年1~3月期の成長率は2四半期ぶりの前期比マイナス成長となり、2022年度を通じて景気は一進一退。その結果、前年同期比ではわずか+0.2%にとどまり、景気回復の遅れが顕著。

3月以降は人出が回復、4月にかけて景況感や小売・外食売上が改善するなど、個人消費の復調を確認。輸出は足元で財が好調ながら米中向けの息切れ必至。サービス輸出は政府の制限緩和によりインバウンド需要が若干持ち直す見込み。設備投資は、先行指標が機械投資の減少を示唆、建設投資は底堅さを維持するも、一旦停滞の可能性。

企業物価は前年同月比で10%近くまで上昇、消費者物価はコアでも2%を突破。川上から川下にかけて価格転嫁が進んでおり、企業業績を圧迫、個人消費には逆風。消費者物価上昇率は今年度中2%程度で推移する見通しながら、日銀は来年度以降の鈍化を想定し、現行の超金融緩和を継続する方針。日本側の要因による円高圧力は当面なし。ただ、米国長期金利に上昇余地あり、ドル円相場は再び130円台を試すと予想。

2022年4~6月期の成長率は前期比プラスに転じるが、それでも実質GDPはコロナ前を回復せず。7~9月期以降は、個人消費が本格回復に向かうも実質賃金の減少が勢いを削ぐ。設備投資は旺盛な企業の投資意欲を背景に再拡大するも、輸出は伸び悩む見込み。以上から、2022年度の成長率は前年比+2.7%と前年から若干の加速にとどまる見通し。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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副主任研究員 中浜 萌

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