2022.07.29

日本経済情報2022年7月号 経済見通し~内需主導の回復は維持するも下方修正

政府は7月26月の月例経済報告で、景気の現状判断を「持ち直しの動きがみられる」から「緩やかに持ち直している」に上方修正した。

その主因である個人消費の持ち直しは、景気ウオッチャー調査でも示唆されているほか、実際の販売統計でも百貨店やコンビニ、外食売上の好調さで確認できる。自動車販売も生産の底入れで持ち直しつつある。

公共投資も復調しており、4~6月期の実質GDP成長率は別途レポートで示した通り、前期比プラスに転じると予想される。

今後については、①欧米景気減速の輸出への影響、②先行きの不透明要因が多い中での設備投資の回復力、③物価上昇やコロナ再拡大という逆風下での個人消費の行方、が重要なポイント。

これらの要因は、現時点では景気回復シナリオを変更させるほどではないとみるが、成長率見通しの下方修正は不可避。リスク要因の程度次第では景気腰折れの可能性も否定できない。無事に乗り越え本予測のシナリオが実現すれば、国内要因だけで物価が適度に上昇する望ましいインフレが実現する素地は整うだろう。

 

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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副主任研究員 中浜 萌

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