2023.01.25

米国経済:インフレ低下と並行して本格的な景気悪化の兆し

財(モノ)の価格上昇率の低下が鮮明となり、サービス分野も賃金上昇の鈍化を示す経済指標が続き賃金インフレの懸念が和らいだことで、インフレピークアウトへの期待が一段と高まる。一方、景気は、製造業が減産に転じ、非製造業では急速にマインドが冷え込むなど、本格的な悪化の兆しがある。これらを受けて、FRBからは利上げペースの減速を示唆する情報発信が増え、金融市場では先行きの利下げも織り込む形で金利の低下が進んだ。住宅ローン金利の低下など金融環境は幾分緩和し、住宅市場は一旦底打ちの動きがある。しかしながら、2022年中の大幅利上げの経済への影響は、雇用情勢の悪化などを通じて一層強まると考えられる。景気は、2022年第4四半期は比較的堅調であったとみられるが、2023年前半に失速する可能性が高まっていることには注意が必要だろう。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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