2023.03.28

米国経済:銀行不安は和らぐも、資金調達環境の悪化で停滞する見通し

米国では、3月中旬のシリコンバレーバンクの破綻をきっかけに、銀行不安が急速に強まった。当局による預金保護拡充や流動性供給などの迅速な対応により事態は収束に向かうものの、当面は財務基盤が弱い中小銀行の経営不安が燻るとみられる。今回の銀行不安を受けて、FRBは追加利上げに慎重になることが想定される一方、銀行の貸し出し姿勢が一層慎重化することが見込まれ、設備投資は減少するだろう。個人消費も、コロナ禍で蓄積された家計貯蓄の取り崩しが進むもとで、サービスを中心としたリベンジ需要が一巡すれば減速ペースが速まると考えられる。先行きは、銀行不安が景気に及ぼす影響の不確実性が大きいが、現時点では、46月期以降は何とかプラス成長を保つ程度まで減速し、停滞を深めるという従来見通しを維持したい。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

執筆者紹介ページを表示