2023.04.24

米国経済:悪化する資金調達環境が景気の下押しに

3月中旬に強まった銀行不安は、懸念されていた中小銀行の預金流出に歯止めが掛かり、事態は収束方向にある。ただ、3月下旬に銀行の貸出残高の減少が続くなど、早くも資金調達環境に悪化の兆しがある。今後は企業の設備投資が減少し、雇用情勢も悪化することが見込まれる。また、底堅く推移してきた個人消費も、家計貯蓄による下支えが次第に弱まり、サービスに対するリベンジ需要が一巡することで減速ペースが速まり、実質GDP成長率(前期比年率)は+0%程度に落ち込む見通しである。今後のリスクは、資金調達環境の悪化が加速することだろう。そうした状況に陥る前には、FRBは金融引き締めを修正することが想定されるが、インフレ率が十分に低下していない場合は、政策判断が遅れる懸念があることに注意が必要である。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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