2023.06.28

経済正常化が進み金融政策の修正近づく(改定見通し)-日本経済情報2023年6月号

1~3月期は内需が堅調に拡大、在庫積み増しの動きも加わり、実質GDPは予想以上の高成長を記録。4月以降も各種景気指標が回復持続を示し、販売統計は物販、飲食とも総じて好調、脱コロナ進む。

景気回復の主役、個人消費を支える賃金は、春闘賃上げ率が30年ぶりの高水準である3.6%程度で着地の見通し。7月にかけて基本給に反映され、賃金の伸びは高まる方向。今後は労働需給が一段とひっ迫、賃金上昇圧力の高まりを背景に来年度の春闘も高水準となろう。

消費者物価は来年度にかけて上昇率が鈍化、実質賃金は今年度後半にも前年比で上昇に転じ個人消費を下支え。ただ、賃金上昇が反映されるため、物価2%割れはあっても一時的となる見通し。

設備投資は機械投資が拡大基調を維持、設備ストックの伸びは大きく落ち込んでおり、今後の拡大余地は未だ大きい。輸出は財が年終盤の本格回復待ち、サービスはインバウンドが拡大を牽引。以上より、日本経済は今後も回復傾向を維持、年終盤には回復力を一段と強め、2023年度の成長率は前年比+1.6%まで高まると予想。

日銀は6月会合でも政策変更に慎重姿勢ながら、物価の上振れを認識、副作用の状況次第でYCC見直しの可能性も。7月の次回展望レポートで物価見通しを上方修正し、金融政策の修正が検討されよう。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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上席主任研究員 石川 誠

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副主任研究員 中浜 萌

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