2023.08.24

米国経済:ソフトランディング期待高まる(改定見通し)

4~6月期の実質GDPは底堅い国内需要を示し、7月の月次指標からも景気の底堅さが窺える状況にある。一方で、インフレは引き続き鈍化基調にあり、景気後退を回避しつつ高インフレが沈静化する「ソフトランディング」のシナリオが現実味を増す。FRBも、高インフレに対する警戒感と共に、過度な金融引き締め懸念に関する情報発信が以前より増えており、ソフトランディングの実現を視野に景気への配慮を強めていると考えられる。当社は、景気見通しを幾分上方修正し、今夏は景気が底堅く推移すると見込む。しかしながら、足元の国内需要は、①コロナ禍で積み上がった家計貯蓄の取り崩し、②投資需要の先食いに支えられたものであり、秋以降はその反動から増勢が弱まり、年末にかけて景気は停滞すると予想する。こうした状況のもとで、金融引き締めの効果が強まり、景気が想定以上に悪化する可能性は引き続き注意すべきであろう。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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