2023.09.26

米国経済:夏場の堅調な景気を経て、秋以降は下押し要因が増加

7~9月期の実質GDPは、堅調な個人消費が全体を押し上げ、+2%程度の巡航速度を上回る成長率で着地するとみられる。ただ、足元の月次指標などからは、増勢が鈍化しつつある姿が窺える。コロナ禍で積み上がった家計貯蓄が減少し、個人消費のバッファーがなくなりつつある中、10月以降は、①学生ローン支払い再開、②自動車大手のストライキ、③2024年予算審議停滞による政府閉鎖の可能性などの景気下押し要因も重なり、景気は停滞に向かうとみられる。9FOMCでは、夏までの想定を超える景気の堅調さを背景に、2024年以降の利下げ幅の予想が大幅に縮小されたが、個々のFOMCメンバーの見通しには大きなばらつきがある。年末にかけてインフレ鈍化と景気減速が進むことで、FRBは現在の政策金利水準が十分に引き締め的であるとの自信を深め、過度な金融引き締めのリスクに配慮する方向に政策を徐々にシフトしていくと予想する。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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