2023.10.20

米国経済:長期金利急上昇、想定を上回る景気と国債の需給悪化が背景

米国の長期金利は足元で急上昇し、2007年以来となる5%程度に達している。この間、長期金利に影響を及ぼす「期待インフレ率」は高まっていない。長期金利上昇の背景には、予想を上回る堅調な経済指標が続き、経済見通しとそれに伴う政策金利の推移に関する不確実性が高まったこと、国債増発により改めてFRBQT(量的引き締め)の影響が強まったことが考えられる。FRBは、長期金利の上昇が過度な需給悪化によるものと判断すれば、タカ派姿勢を和らげるなどして抑制する可能性があろう。長期金利の先行きは、景気鈍化が確認され、来年半ばまでには利下げ開始の方向性がはっきりするにつれて、4%程度まで低下すると予想する。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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