2023.10.25

米国経済:底堅い景気が長期金利の上昇を招き、新たな下押し要因に

米景気の柱である個人消費は、財(モノ)への需要を中心に9月も増勢を維持し、雇用情勢は、労働需給のひっ迫が解消に向かいながら、全体として良好さを保っている。景気の想定以上の底堅さや、増発に伴う国債の需給悪化を背景に、10月下旬にかけて長期金利は大幅に上昇した。このため、住宅市場では住宅ローン金利の上昇が需要を下押しし、企業の資金調達コストはさらに上昇したとみられる。また、個人消費は、可処分所得と比べ高めの水準が続いており、この先調整される可能性が高い。個人消費は、まずは低・中所得層を中心に、①家計貯蓄の減少、②学生ローンを含む各種ローンの返済負担の増加などを背景に減速し、住宅投資の低迷と設備投資の減少も加わることで、年末にかけて景気は停滞すると予想する。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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