2023.12.25

日本経済2023年の回顧と2024年の展望-日本経済情報2023年12月号

2023年の日本経済を取り巻く環境は、ロシア・ウクライナ戦争の長期化や欧州経済の低迷といった想定通りの悪材料だけでなく、金融引き締めにもかかわらず堅調な米国経済がもたらす大幅な円安の進行、イスラエル・ハマス戦争など想定外のかく乱要因も少なくなかった。

そのため、年初に掲げた5つの景気回復の理由、すなわち①脱コロナに出遅れたことは、確かに年初の景気回復をもたらしたが、②欧米に比べ低いインフレ率、とはならず物価上昇が個人消費の停滞につながり、③金融緩和は継続され、④企業の姿勢は前向きであり、その結果、雇用は拡大し賃金は上昇したものの、設備投資の再拡大には至らなかった。ただ、⑤インバウンド需要は順調に回復し、景気を押し上げた。

つまるところ、2023年は脱コロナを原動力とする景気回復は道半ばに終わった。ただ、明るい面を挙げるとすれば、思いのほかコスト増の価格転嫁が進み、デフレ脱却の素地が整ったことであろう。

こうした現状を踏まえると、2024年を展望するにあたって重要な要素は、①物価上昇は鈍化するのか、②賃金上昇は物価を上回るのか、③企業は設備投資を再開するのか、④金利の上昇の影響はどうか、であろう。

順に見ていくと、①物価上昇はすでにピークアウトしており、エネルギー価格や円高もあって、今後も鈍化傾向が続くとみられる。②賃金上昇は来年の春闘で今年以上の賃上げ率が予想され、4~6月期にも物価上昇を上回り実質賃金はプラスに転じよう。③設備投資もすでに設備不足感のある非製造業で増加の兆しが見られており、これまで設備残高が十分に増えていないことからも、再拡大は時間の問題である。④金利の上昇は、設備投資や住宅投資にマイナスであるが、設備投資は現状の不足を補うべく2024年中は拡大が続くと予想する。住宅投資は減少が続こう。

そのほか、輸出は当面、足元の弱含み状態が続くものの、欧米景気の復調が見込まれる年後半には再加速しよう。以上を踏まえると、2024年前半は内需主導の拡大が続き、年後半は金利上昇やリベンジ消費一巡により内需が減速する一方で輸出が拡大、主役を外需へ移しつつ拡大を持続しよう。そうした中、日銀は4月にマイナス金利を解除、日本はようやくデフレを完全に脱却、物価上昇と金利のある「普通の経済」に戻る。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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主任研究員 中浜 萌

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