2024.11.26
7~9月期の実質GDPは2四半期連続の前期比プラス成長となり、景気の回復持続を確認。個人消費が回復を主導。10月の景気ウォッチャー調査は家計関連の景況感が悪化したもののサービス関連は良好であり、個人消費は数字ほどには悪くない模様。ただ、10月の販売動向は斑模様であり全体としては停滞感。物価上昇ペースは鈍化しているが、消費者マインドの改善にはつながらず。
それでも、賃金の上昇加速が続いており、実質賃金は9月に概ね前年比マイナスを解消。年末にかけては冬のボーナスの増加により一段と改善しよう。さらに、来年度の春闘賃上げ率は、今年度並みの5%前後と予想される。物価上昇の鈍化と消費者マインドの改善も相まって、個人消費は堅調拡大を維持しよう。
設備投資についても、先行指標は機械投資が増勢を強める可能性を示し、建設投資も下げ止まりの兆しが見られる。さらに、企業業績は増収増益が続く見通しであり、基調として底堅く推移すると見込まれる。ただ、住宅投資は金利の上昇を受けて減少傾向となろう。
輸出は、インバウンド需要が円安修正により伸び悩むものの、財は当面、中国向けを中心に持ち直し傾向が続こう。2025年後半は米中貿易摩擦の再燃により下押しされるものの、2026年入り後は米国経済の堅調拡大を背景に再び増勢を強めよう。
11月22日に閣議決定された「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」は、①給付金や補助金による家計所得の増加を通じた個人消費の拡大、②物価上昇の抑制による個人消費の促進、③補助金による企業の設備投資の促進、④公共投資の追加、により景気回復持続の確度を高めよう。その結果、日本経済は2025年度から2026年度にかけて潜在成長率を上回るペースの拡大が続くと予想する。