2020.12.25

中国経済情報2020年12月号

中国経済:2021年はコロナ・ショックの反動で8%成長も、中長期的には5%台の安定成長を目指す(経済見通し)

11月の主要経済指標は、10~12月期の成長率が前年同期比7%程度まで高まり、2020年通年では2%台のプラス成長となる可能性を示した。中央経済工作会議で示された2021年の経済政策運営は、景気に配慮した緩和的な財政金融政策を維持しつつ内需主導の成長を目指すとするも、過剰債務や住宅価格高騰の問題を懸念して徐々に中立方向に調整する方針も示された。そのため、今後は固定資産投資が減速、個人消費は「15年で所得倍増」ペースに見合った安定成長を探ろう。輸出は世界的なコロナ感染再拡大を受けて当面伸び悩むが拡大傾向を維持。成長率は2021年こそ前年の反動もあり8%台へ高まるが、その後は5%台を目指すと予想。

伊藤忠北京拠点注目のトピック

保険会社のリードで成長する高所得層向け高齢者介護産業

高齢化社会の進展と所得向上を背景に、高所得層向けの高齢者介護市場が成長している。その主な担い手は保険会社で、保険商品の販売と老人介護施設の入居権を抱き合わせるビジネスモデルによる参入が相次ぐ。ただ、保険会社はサービスや施設運営のノウハウには欠けることから日本企業がそれを補うケースもみられはじめている。今後さらにサービスの質向上・多様化が求められるようになると、日本が有するノウハウへのニーズもますます高まっていくと考えられる。

「分散型」を柱に再出発する太陽光発電産業

中国の太陽光発電産業は、政府の強い後押しを背景に成長してきた。しかしながら政府は、供給過剰や財政負担の重さを問題視、大規模な設備を要する「集中型」発電への支援を削減して、既存の建築物を利用する低コストの「分散型」に資源を集中する方針。そうした中で分散型発電市場が拡大し、日本企業の一部参入も見られるようになった。政府が掲げる「二酸化炭素排出量削減目標」を追い風に、分散型を柱とした太陽光発電産業が健全な成長を遂げられるか注目される。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

執筆者紹介ページを表示