2022.08.29

日本経済情報2022年8月号 2024年度までの経済見通し~個人消費と設備投資を牽引役に拡大傾向を維持、人手不足への対応が成長力を左右

4~6月期GDPは明確なプラス成長となり、景気の持ち直しを確認。水準はコロナ前を回復。7月の景況感は個人消費関連で悪化が目立ったが、販売統計は総じて底堅い動き。輸出は米国向けの減少で増勢一服するも、設備投資は機械投資、建設投資とも拡大を持続。7月以降の景気は、個人消費が物価上昇やコロナ拡大で減速、輸出は停滞するも、設備投資の牽引により拡大を維持、7~9月期GDPもプラス成長となる見込み。

今後の日本経済を見通す上では、労働力需給の行方とそれへの企業の対応が重要。経済成長が続くのであれば労働需給のさらなる逼迫は不可避であり、賃金上昇による雇用確保、および省力化・自動化に向けた投資拡大が求められる。そのため、個人消費は物価上昇の中でも「強制貯蓄」と雇用拡大・賃金上昇による所得増で拡大が続き、設備投資はコロナ期の過剰解消も相まって今後は成長実現と労働代替のため拡大が続こう。

輸出は欧米景気の減速で伸び悩むが、日本経済は内需の拡大により回復傾向を維持、2024年度にかけて潜在成長率を上回り続けよう。需給ギャップは解消、物価は内的要因による上昇に変わり、コアコア消費者物価は2%程度の上昇が定着、日銀に金融政策の修正を迫ると予想。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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