2023.09.27

改定経済見通し~デフレ脱却が迫る正常経済への耐性強化-日本経済情報2023年9月号

4~6月期の実質GDP2次速報では設備投資が下方修正され、外需のみに依存する成長の姿がより鮮明に。ただ、7月以降の景況感は良好、販売統計も7~8月の個人消費が堅調であったことを示す。

今後の個人消費のカギを握る賃金は、統計の癖を考慮すれば春闘を反映し7月にかけて上昇率が高まっている模様。労働需給はひっ迫しており、来春闘でも高い賃上げ率となる見込み。消費者物価の伸びは鈍化が見込まれるため、足元で伸び悩む実質賃金もいずれ反転上昇し、個人消費の拡大を後押ししよう。

設備投資は先行指標が当面の停滞を示唆、財輸出には自動車生産の正常化に伴う回復が一服する兆しが見られるものの、インバウンド需要は過去のピークを回復、今後も景気押上げに貢献する見通し。

日銀は9月の決定会合で金融政策を予想通り現状維持とした。マイナス金利解除の前倒しを期待させる発言の真意を巡って注目された植田総裁の記者会見では、むしろ物価目標達成への距離感の遠さが強調され、市場の期待は後退。ただ、ファンダメンタルズについての認識は距離の縮小を感じさせる面も。当社は2024年4月にも現行の金融緩和が終了するとの予想を維持。

デフレ脱却は経済の正常化であり、物価上昇下で一定の金利と賃金上昇がある本来の姿への対応を企業にも政府にも迫る。その対応策は「リストラ」ではなく生産性向上のための再構築であろう。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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主任研究員 中浜 萌

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