2023.10.30

景気は回復傾向も不確実性残し、金融政策は据え置きか-日本経済情報2023年10月号

日銀短観は、6月から9月にかけて製造業で復調の動きが継続、非製造業も回復傾向を維持し、景気の拡大が続いたことを示唆。ただ、9月の景気ウオッチャー調査では景気回復の動きに一服感。

実際に9月の主要小売業態や乗用車、外食の売上は伸び悩み、物価上昇や厳しい残暑の影響で個人消費の回復にブレーキが掛かっている可能性。設備投資も先行指標が停滞の継続を示す。

一方、輸出は、財が自動車を中心に回復続き、サービスはインバウンド需要が過去最高を更新するなど好調。

7~9月期のGDP成長率は、個人消費が前期比で増加する一方、設備投資は減少、輸出は増加するが輸入も前期の反動で増えるため純輸出の寄与はゼロ前後、住宅投資も減少が見込まれるため、前期比横ばい乃至はマイナスとなる見込み。

7~9月期の成長鈍化の後、景気が停滞するか拡大傾向に戻るかは①海外景気動向、②賃金と物価、③企業の雇用・投資姿勢による。①海外景気動向は、欧米が当面減速、中国も緩慢な回復にとどまり、明るさが広がるのは来春頃となろう。

②賃金は今年度の高い春闘賃上げ率が徐々に反映され伸びが高まっている。さらに、来年度の春闘賃上げ率は今年度以上となり、賃金上昇ペースは加速の方向。一方の消費者物価上昇率は鈍化していくとみられるが、賃金上昇が下支えし前年比2%は割り込まない。実質賃金が前年比プラスに転じるのは来年前半に後ずれ。

③企業の人手不足感は極まっており、雇用は拡大するも限界近く労働需給はひっ迫し、賃金上昇圧力を一段と高める。設備も特に非製造業で不足感強まり、設備投資計画は強気。人手不足対策の観点からも設備投資の再拡大は時間の問題。

日銀は10月30~31日の金融政策決定会合で物価見通しを上方修正し2%の物価目標達成の可能性が高まっていることを示すも、当面の経済情勢の不確実性を理由に金融政策は据え置くと予想。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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主任研究員 中浜 萌

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