2024.01.29

日本経済は回復基調を取り戻し4月にマイナス金利解除-日本経済情報2024年1月号

昨年7~9月期の実質GDP成長率が前期比マイナスとなり、景気は回復が一旦足踏みし、その後も11月までは盛り上がりに欠けたが、12月の景気ウオッチャー調査は景気の持ち直しを示す。

12月は気温が高く外出が増加、コンビニや外食の売上が堅調拡大。ただ、衣料品の販売不振が百貨店やスーパーの売上を下押し、物価上昇も引き続き食料品販売の逆風に。自動車販売も生産正常化に伴う回復が一巡。一方で、物価上昇はエネルギー価格の下落や値上げの一巡でピークアウトが鮮明となり、消費者マインドの改善に寄与。

インバウンド需要は一段と拡大、2023年通年の訪日外国人数はピーク(2019年)の約8割まで回復。金額ベースでは円安による単価上昇で2019年を上回った模様。しかしながら、財の輸出は、欧州向けやアジア向けの落ち込みにより減少に転じる。

今後の消費動向を見通すうえで重要な賃金動向は、昨年終盤に基本給が前年比2%を超えて上昇。今年の春闘は昨年を超える賃上げ方針を表明する企業が増えており、当社は4.1%の賃上げ率予想を維持する。これが実現すれば、実質賃金は2024年度前半に前年比プラスに転じ、消費マインドの改善も加わって個人消費は回復基調を維持しよう。

設備投資は、機械受注などの先行指標で全体感を見る限り再拡大に向かう気配はないが、詳細に見ると非製造業の機械投資や物流分野の建設投資など復調の動きも見られる。設備の過剰感が解消、ないしは不足感が高まっていることは間違いなく、今後はこうした復調の動きが広がる形で、設備投資全体が回復に向かうと期待される。

以上を踏まえ今後を展望すると、個人消費は回復基調が明確になり、インバウンド需要は緩やかな拡大を続け、年後半には財輸出が回復に向かい、設備投資も力強さを増すとみられるため、景気は再び回復基調を取り戻しデフレからの完全脱却を実現しよう。

日銀は1月の金融政策決定会合でも現行のマイナス金利と長期金利の目標水準を設定する形でのYCCを維持したが、人件費上昇のサービス価格への着実な転嫁と春闘の結果を確認し、4月に政策変更に踏み切ろう。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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主任研究員 中浜 萌

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