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研究員紹介/趙 瑋 琳(チョウ イーリン)

主任研究員

産業調査センター

趙 瑋 琳(チョウ イーリン)

担当分野
DX
消費における中国の産業・企業動向
中国ビジネス

研究・専門分野

中国を中心としたプラットフォーマー、テックベンチャーの最新動向、デジタルイノベーションがもたらす社会・経済への影響、中国市場の変容/消費分野の新たな動向、中国企業の海外進出とそれによる業界勢力図の変化

プロフィール

2002年に来日。2008年東京工業大学大学院社会理工学研究科修了、イノベーションの制度論、技術経済学にて博士号(学術)取得。早稲田大学商学学術院総合研究所、富士通総研経済研究所を経て、2019年9月より現職。2020年から2024年まで早稲田大学商学部にて「中国ビジネス論」を担当。著書に『BATHの企業戦略分析―バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイの全容』(日経BP社)、『チャイナテック―中国デジタル革命の衝撃』(東洋経済新報社)、『2030年中国ビジネスの未来地図―9億人新市場が誕生する日』(東洋経済新報社)。

学術的な理論と中国出身のアドバンテージを融合

中国のデジタルイノベーションについて、私が調査・分析する強みは大きく2つあります。1つ目は学生時代からイノベーションについて強い興味を持っており、東京工業大学(現・東京科学大学)大学院でイノベーションと技術経済学の研究を行って博士号を取得しました。そのため、学術的な理論にもとづく分析が可能であることです。2つ目は中国出身のため、文化や風土、国民性の理解はもちろん、中国国内のビジネス関係者や研究者とのネットワークの構築などにおけるアドバンテージです。この2つの強みを活かしたアウトプットで、日本や中国を問わず既存ビジネスの発展や新規ビジネスの開拓、また海外展開などに寄与していきたいと考えています。

森を見て、木を見て、ときに根元を見にいく

アウトプットするときに最も大切にしているのは、公表されているデータや政策情報を客観的に分析して考えを導き出すことです。入手した情報によっては、公的なものに見えても発信側の意図によって、ポジティブな部分もネガティブな部分も省かれている恐れがあります。そのため、現地の生の情報に近い中国語のレポートを必ず確認するようにします。また、中国と一言で表しても地域によって経済規模も状況もまったく異なります。例えば、コロナ禍以降、中国全体で小売総額が伸び悩んでいるのですが、内陸部だけを見れば増加傾向ということも普通に起こります。中国は見る角度によって本当に見え方が変わる国なので、アウトプットを求める相手のニーズの丁寧な理解も心がけています。

進化したDXが新たな社会課題を生むことも

中国では、民間企業が重要なプレイヤーを担ってD Xを推し進め、新しい技術を積極的に使う国民性と結びついて飛躍的に進展しました。買い物もオンライン化が進み、実際に現地を見るとマンションの隣に店舗があってもオンラインでの購入が当たり前。利便性の高い暮らしの実現とともに、過剰利用がもたらした配達員たちの労働環境など新たな社会課題も生まれます。この状況から社会全体の観点で今後を考えると、非効率であってもこれまで大切にされてきた「手で触れる」などの価値を人間が再認識し、効率という価値とのバランスを取ることが重要になってきます。

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