2021.11.22

日本経済情報2021年11月号 10月以降は個人消費主導で本格回復(改定見通し)

2021年7~9月期GDPの1次速報値は、大方の予想を大きく上回るマイナス成長となり、夏場の景気停滞を確認。個人消費、設備投資、輸出のいずれも大きく落ち込んだ。

ただ、Googleデータによると10月に入り人出は急速に活発化しており、個人消費は急回復している模様。輸出の減少は自動車生産の落ち込みが主因であるが、10月には持ち直しの動きが見られ米国向けは復調を期待。ただ、中国向けは素材分野も大幅に落ち込んでおり停滞続く可能性。

設備投資は機械投資が停滞、建設投資が減少したが、企業の投資意欲は根強く、すでにストックが減少(生産能力が低下)しつつあることも考慮すると、個人消費や輸出の回復に伴い拡大を再開しよう。

岸田政権は11月19日、過去最大となる財政支出規模55.7兆円の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を決定した。景気好転の兆しが見られる中、その規模の妥当性に議論の余地はあろうが、景気回復を後押しすることは間違いない。

以上を踏まえると、実質GDP成長率は、足元10~12月期に前期比大幅プラスへ転じ、以降も景気対策の効果が加わり堅調拡大を持続、2021年度で前年比+2.7%、2022年度は+3.5%まで高まろう。2023年度も潜在成長率を上回るものの、消費者物価上昇率は年度末でも1%程度にとどまると予想する。物価目標2%の妥当性再検討も必要か。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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副主任研究員 中浜 萌

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