2022.06.24

日本経済情報2022年6月号 経済見通し~個人消費主導の回復シナリオは変わらず

2022年1~3月期の成長率は2次速報で上方修正されたが、2四半期ぶりの前期比マイナス成長は変わらず、年初の景気は停滞。

3月以降、人出の回復は続くが「小売・娯楽施設」では緩慢な動き。「職場」は着実に改善しオフィスに人が戻る。外出の回復を受け、百貨店やコンビニ、レジャーや旅行関連の消費回復が顕著。一方で、供給不足により自動車や家電は不振。スーパーは巣籠り需要減や物価高が下押し。

輸出は全体で増勢を維持するも欧米向けに息切れ感。中国向けは下げ止まった程度。入国者数の上限引き上げによるインバウンド需要持ち直しに期待。設備投資は、先行指標に回復の動きあり持ち直し方向。

消費者物価はエネルギー・食料品価格の上昇により5月も2%超となったが、日銀は6月の決定会合でも現行の緩和策を維持。これを受けて一時円安が加速するも、米国景気の減速観測もあり米長期金利の上昇が一服、円安余地は限定的。

以上より、4~6月期は前期比プラス成長に転じるが実質GDPはコロナ前を回復せず。7~9月期以降、個人消費は回復に向かうも実質賃金の減少が勢いを削ぎ「強制貯蓄」が下支えする構図。設備投資は旺盛な企業の投資意欲を背景に再拡大。輸出は欧米の景気減速により伸び悩む見込み。その結果、2022年度の成長率は前年比+2.7%にとどまる見通し。

 

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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副主任研究員 中浜 萌

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