2022.09.27

日本経済の回復が続く5つの理由(改定見通し)-日本経済情報2022年9月号

世界経済は物価上昇とその抑制のための利上げにより来年前半にかけて急減速する見込み。そうした中でも日本経済は回復に向けた動きを維持すると見込んでおり、その理由は以下の5つ。

第一は、脱コロナに出遅れたこと。日本の経済活動は2022年4~6月期にようやくコロナ前を回復したところであり、米欧より半年から1年も遅れている。第二は消費者物価の上昇率が低いこと。実質賃金は1%強のマイナスであるが、米英の3%、ドイツの7%ほどではない。

第三は金融緩和が続くこと。黒田総裁の言う2~3年より利上げは早まるかもしれないが、欧米景気回復まで内需拡大の後押し役を期待できる。第四は企業が雇用拡大や賃上げ、設備投資の拡大を迫られること。人手不足は極まり、減少に転じている設備ストックの積み上げは必至。第五は政府の方針転換を受けたインバウンド需要の回復である。

以上から、今後の日本経済は、当面、内需主導で拡大傾向を維持し、欧米景気が回復に転じる2023年度後半以降は、輸出が復調する一方で個人消費は自然体の伸びへ落ち着き、設備投資も拡大局面が一巡、徐々に巡航速度へ減速していくと予想する。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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副主任研究員 中浜 萌

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