2022.08.26

欧州経済はスタグフレーション突入(改定見通し)

欧州では、ロシアによる天然ガス供給の不確実性が残る中で、少なくとも冬場にかけてはエネルギー価格が高止まりとなろう。また、川上分野から川下分野への価格転嫁もさらに進むと予想される。加えて、英国では、Brexitに伴う移民制限を背景に人手不足問題の解消が遅れており、それに伴うインフレ圧力も暫く残り続ける可能性が高い。以上の状況に対し、BOE(英国中銀)やECB(欧州中銀)は、2022年内に政策金利をそれぞれ中立金利と目される水準(BOEは2.5%、ECBは主要リファイナンス金利で1.5%)まで引き上げると考えられるが、インフレ率が中銀政策目標近辺の2%に落ち着くのは2024年入り後となろう。この間の欧州景気は、世界経済減速による輸出の伸び悩みも相俟って停滞感が一段と強まり、特に2022年後半は、ユーロ圏・英国ともに物価上昇と景気後退が同時に進む「スタグフレーション」の状況に直面すると予想される。今回改定した成長率予想は、ユーロ圏が2022年2.7%、2023年0.5%、2024年1.5%、英国が2022年3.0%、2023年0.1%、2024年1.2%である。

執筆者紹介

上席主任研究員 石川 誠

執筆者紹介ページを表示

副主任研究員 岩坂 英美

執筆者紹介ページを表示