2026.07.29

中東情勢の悪影響続くなか、戦後最長の景気拡大へ-日本経済情報2026年7月号

6月調査の日銀短観は、企業景況感が大企業、中小企業とも総じて良好。一方、「街角景気」と呼ばれる景気ウオッチャー調査では6月に景気の現状判断が悪化。理由として物価高による消費者の節約志向や悪天候による来客減が目立ったほか、仕入れコストや人件費の上昇が挙げられており、価格転嫁の遅れも見られた。

それでも政府は6月の月例経済報告で景気は「緩やかに回復している」との判断を据え置いた。そうであれば2020年5月から続く今回の景気拡大局面は73か月に達し、戦後最長の「いざなみ景気」に並ぶ。景気拡大の判断に用いられる景気動向指数は5月まで拡大が続いていたことを示している。8月7日公表予定の6月分も、景気後退を示唆せず、政府の「回復」という判断を裏付ける結果となる見込み。

こうした6月までの状況も踏まえると、4~6月期の実質GDP成長率は前期比プラスが予想される。輸出は財の落ち込みをサービスの増加が埋めきれず前期比で減少したが、設備投資は需要サイドの先行指標からも供給サイドの統計からも前期比で増加が見込まれ、個人消費も乗用車などの耐久財が牽引し増勢を維持した模様。

7月以降も、設備投資は日銀短観の投資計画で企業の前向きな姿勢を確認、設備の過剰感払拭と深刻な人手不足を背景に拡大が続こう。輸出は、全体では減少した4~6月期も半導体分野は増勢を強めており、今後もAI特需を追い風に拡大、輸出の回復を牽引する見込み。なお、新たなトランプ関税による平均関税率の上昇幅は小さく、影響は限定的。

個人消費の先行きを左右する物価動向は、中東情勢の影響で川上の輸入物価や川中の企業物価が大幅に上昇しているが、政府の物価高対策により川下の消費者物価は落ち着いている。今後も燃料費補助金が継続され、来年度には食料品の消費税減税も見込まれるため、消費者物価は安定的な上昇が続き、個人消費の拡大を阻害しない見込み。

その結果、今回の景気拡大局面は戦後最長を更新する可能性が高い。実感を伴わないとの指摘は格差拡大によるところが大きく、その是正のため、資産価格の過度な上昇を抑える適切な金融政策と、将来の負担増を抑えつつ望ましい所得分配を促す財政政策が期待される。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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主席研究員 武内 浩二

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副主任研究員 高野 蒼太

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副主任研究員 北辻 宗幹

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