2026.08.26

緩慢な金利上昇が高めるインフレリスク~改定見通し -日本経済情報2026年8月号

4~6月期の実質GDP成長率は3四半期連続のプラス成長となったが、国内民間最終需要はマイナス、景気の実態は停滞気味。個人消費は所得増の下でマインド悪化により横ばい。7月の景気ウオッチャー調査(街角景気)は個人消費の持ち直しを示唆したが、その足取りは緩慢。

そうした中で日銀は、7月会合で政策金利を据え置き。ただ、物価目標の達成が近づき、物価上振れリスクが意識されるとの見方が、市場の利上げ前倒し期待を高めた。加えて、政府の示した成長戦略や食料品の消費税率引き下げが財政悪化懸念につながり、長期金利が上昇。

仮に今後、日銀が今年度中に1回、来年度中に2回の利上げを行い、10年国債利回りが今年度末に3%、来年度末に3.3%へ上昇するという、現在の市場予想より控えめな想定をした場合、企業部門においては、利払い負担が増加、設備投資は下押しされるが、その悪影響は、利上げの背景にある経済成長や物価上昇による恩恵で概ね相殺される。

家計部門においては、金利上昇による利子所得の増加が利払い増を上回るうえ、物価上昇などを受けた賃金上昇の影響が大きく、個人消費は強い押し上げ圧力を受け、金利上昇による住宅投資のマイナスをカバー。

こうした試算結果は、政策金利が中立水準に達せず緩和状態が続くのであれば当然であり、利上げ加速の余地があることを示すに過ぎない。今後、中東情勢が落ち着けば需要の回復が見込まれるため、国内需給のひっ迫に起因するインフレ加速を避けるための政策対応が求められよう。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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主席研究員 武内 浩二

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副主任研究員 高野 蒼太

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副主任研究員 北辻 宗幹

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