2023.05.29
1~3月期の成長率は3四半期ぶりの前期比ブラスに転じ、内需主導の景気回復を確認。4月以降も、各種販売統計から個人消費の堅調拡大が確認でき、景気ウオッチャー調査の景況感も消費関連を中心に改善が続く。ゴールデンウィークの旅行も堅調。
物価上昇という逆風下で個人消費が回復した原動力は強制貯蓄の取り崩し。当社の推計では高所得者層で顕著。強制貯蓄は未だ年間所得の1割程度残っており、引き続きリベンジ消費の原動力に。
さらに、30年ぶりの春闘賃上げ率が示す通り、賃金の上昇加速も消費回復の原動力に。春闘賃上げ率は3.6%で着地、平均賃金は前年比+2.6%へ伸びを高める見通し。一方で物価上昇率は2%程度まで伸びが鈍化、実質賃金はプラスに転じ個人消費を押し上げよう。
設備投資は機械投資を中心に拡大基調を維持、海外景気の減速で低迷している輸出も年終盤には底入れする見通し。以上より、日本経済は今後も回復傾向を維持、年終盤には回復力を一段と強め、2023年度の成長率は前年比+1.7%まで高まると予想する。
内需主導の景気拡大が続く中、期待インフレや賃金で推計される物価の基調は強く、日銀が想定する一時的な物価上昇率2%以下、という状況には至らない可能性。7月の次回展望レポートでは物価見通しの上方修正とともに金融政策の修正が検討される可能性が高い。